いきなりですが胃の病気の一つ「胃潰瘍(いかいよう)」を知っていますか。一度は聞いたことがあると思いますが、どのような病気か知っている人は多くないでしょう。この病気は胃を傷つけてしまう病気で最悪の場合、穴が開いてしまう病気です。

そんな、恐ろしい病気の予防に青汁が期待できるのです。そこで今回は胃潰瘍についての解説と、青汁でどうして予防できるのか解説していきます。

胃潰瘍(いかいよう)とは?

よく耳にする胃潰瘍という疾患。でも、実際にはどういった疾患なのかよく知らないという方も多いのではないでしょうか。胃潰瘍とはどんな病なのかというと、胃酸などにより胃や十二指腸の粘膜が傷ついてしまうことで粘膜や組織の一部がなくなってしまう疾患です。

本来、胃や十二指腸というのは強い胃酸や消化酵素を含んでいる胃液でも粘膜が傷つかないような仕組みになっています。しかしながら、防御機能が何らかの異常により低下してしまうことで胃液の攻撃を受けることで組織の一部がなくなってしまうのです。

胃液により粘膜が傷ついてしまうと胃部が痛みを感じるほかにも不快な症状が現れます。放っておいても治るということはなくさらにひどくなってしまうことの方が多く、傷ついている部分から出血してしまい吐血や便に血液が混ざるといった症状がみられるようになります。

さらに、胃や十二指腸に穴が開いてしまうと腹膜炎などの症状が起こることもある、あなどれない疾患の一つでもあるのです。

ちなみに、胃潰瘍と十二指腸潰瘍をあわせ「消化性潰瘍」と呼ばれますが、胃潰瘍や十二指腸潰瘍という疾患名の方が聞きなれているという方も多いのではないでしょうか。

胃潰瘍になる原因とは?

胃潰瘍というのは、胃の粘膜の防御機能が弱くなってしまった時に起こります。ピロリ菌に感染したり非ステロイド系抗炎症薬を服用していたりすると起こることが多い傾向にあります。

また、ストレスも胃潰瘍になる原因とされていて、ストレスが防御機能を失い胃の粘膜に傷ができてしまうことで潰瘍となってしまうのです。

ちなみに十二指腸潰瘍は胃酸の分泌が高くなり、胃酸の攻撃を防御する力がもともと弱い十二指腸の粘膜が傷ついてしまうことで起こっています。(参照:千葉県栄養士会「胃潰瘍の人の食事」)

ピロリ菌の感染も胃の粘膜を傷つけるほかにも十二指腸の粘膜も傷つけてしまいますし、脂肪分を多く含んでいる食事をする機会が多い場合も胃酸の分泌が増えてしまうので胃潰瘍を引き起こす原因となってしまいます。

中でも、胃潰瘍になる原因で最も多いのはピロリ菌の感染によるもの、次に多いのがステロイド性抗炎症薬、その次にストレスとなっています。

ただ、ストレスが直接的な原因となるというよりは、ピロリ菌の感染がある場合はストレスがかかることで胃潰瘍を引き起こしやすいと考えられています。

胃酸というのは何が原因となっていたとしても、胃粘膜の傷の修復を妨げてしまい潰瘍がさらに悪化する原因にもなっています。

胃酸が胃を傷つけていたんだね。

ストレスが原因は聞いたことあったが、ピロリ菌の感染のほうが多いんじゃな。

胃潰瘍による症状

胃潰瘍という疾患を知っていても、実際にどういった症状が胃潰瘍なのか知らないという方も多いのではないでしょうか。ほとんどの方は胃の痛みをイメージされますが、その痛みは只者ではありません。

みぞおちから左側にかけて鈍痛を感じ、痛みの度合いは人それぞれですので痛みをさほど感じずに病院を受診したら胃潰瘍だったというケースもあります。

痛みを感じるのはどちらかといえば空腹時よりも食事中や食後が多く、胸やけや吐き気、げっぷが酸っぱくなるといった症状がみられます。

胃の粘膜が傷つき穴が開いてしまうと吐血といった症状も見られます。便に血が混じることもあり、黒褐色の血を吐く、通常よりも黒い便が出るような時は胃が出血している可能性があります。

また、潰瘍が見つかるとがん細胞があるかどうかを直接組織を採取して調べることになりますが、この際がん細胞が見つからなければ胃酸を抑えるような薬が処方され、症状を抑えられる食事療法などで改善していきます。

出血している状態はかなり症状が重たいといえますが、近年はかなり効果の高い薬が登場していることから、入院や手術をせずに治療が行われることも多くなってきています。

この歳になるとやはり、がんは気になりますね。

そうじゃな。がんも怖いし、痛みも耐えられるか不安だからきちんと予防しないといかんな。

胃潰瘍になったときの食事

胃潰瘍の症状によって治療方法は異なってくるものの、食事は特に気を付けなくてはいけないことも少なくありません。胃を安静にさせ胃の粘膜を回復させなくてはいけないのです。(参照:胃潰瘍診療ガイドライン第2版「第1部胃潰瘍の基礎知識」)

たとえば、出血がひどかったり嘔吐、悪心などの症状が大きく出ているような時は、一時的に絶食することもあります。この際、点滴で栄養を補給していくことになるので数日入院という方も出てきます。

しかしながら、胃の中を長きにわたって空っぽにするということは消化器官の運動に支障をきたすことにもなるため、胃の安静が必ずできるかといえばそうではありません。出血をしている場合でも、止血したら比較的早い段階で流動食から始め、様子をみながらおかゆなど柔らかい食事をしていくのが基本です。

近年は胃潰瘍が早く治る薬が登場しているため、嘔吐や吐血などがピークを向けている時期を除いては、食事制限をするようなことはなくなってきています。気にしすぎて食事することがストレスになってしまっては治るものも治らないからです。

だからといって、胃に負担がかかる食事をしていいというわけではありませんので、バランスよく腹八分、消化の良いものを食べるようにしましょう。

胃を守る栄養素とは?

実はちょっとしたことで胃の防御機能は低下してしまいます。おいしい食事をするには胃の機能を保つ必要があります。

胃の機能を低下させないため、胃を守るためにはどういった栄養素を取り入れていったらいいのでしょうか。それは以下になります。

  • フィトケミカル(ファイトケミカル)
  • クロロフィル(葉緑素)
  • カルコン
  • ビタミンA
  • ビタミンC・E
  • 葉酸

フィトケミカル(ファイトケミカル)

フィトケミカルという栄養素を知っていますか?今注目されている栄養素の一つとなっていますが、抗酸化力や免疫力をアップしてくれる効果があります。

野菜や果物、豆類やイモ類、海藻にお茶、ハーブなど植物食品の「色素・香り・アク」の成分から見つかった化学物質です。健康維持に役立つのではないかと研究が今すすめられています。

赤ワインにポリフェノールが含まれていることはご存知の方も多いのではないでしょうか。実はこの赤ワインに含まれているポリフェノールもフィトケミカルの一つなのです。活性酸素を取り除いてくれる抗酸化力が強いことで注目されています。

フィトケミカルは1500種類、ほとんどの植物に含まれているのが特徴です。

クロロフィル(葉緑素)

クロロフィルも胃潰瘍に効果が期待できます。緑の血液とも呼ばれていて、健康を維持してくれることで注目されている栄養素です。クロロフィルとは、植物の葉の成分を合成している葉緑素を指します。

身近なものでいけば小松菜やホウレンソウなどの葉物野菜が持つ緑色を作っているのがクロロフィルなのです。クロロフィルがなぜ胃潰瘍に効果を発揮してくれるのかというと、胃の粘膜を修復して保護してくれる働きを担っているから。

葉緑素というのは胃薬にも配合されている成分で、胃薬を飲んだ時にスーッとするのは葉緑素が使われているからなのです。クロロフィルというのは、身近な植物や野菜に含まれていて、口にする機会が多い栄養素でもあります。

カルコン

カルコンという栄養を知っている方は少ないかもしれません。ですが、比較的身近な聞いたことがある植物に含まれているのですが、それが何かお分かりになる方はどのくらいいるでしょうか。

それは「明日葉」です。カルコンは、胃の粘膜で作られる胃酸の分泌を抑制してくれる効果があることから、胃潰瘍を防止したり抑制することができます。

また、血栓の予防や血圧を下げる効果もあったりと、たくさんの効果があることで近年注目されています。ちなみに、明日葉には9種類のカルコンが含まれているのですが、9種類のうち2種類は明日葉のみにしか含まれていません。

カルコンは別名クマリンと呼ばれることもあり、カルコンもポリフェノールの一種です。

ビタミンA

身近な栄養素でもあるビタミンA。実は、このビタミンAも胃潰瘍の予防に役立つ栄養素として注目されています。ビタミンAの効果として、胃の粘膜を正常に保つというものがあります。さらにできている潰瘍を修復してくれる働きも担っています。

また、とあるハムスターを使った研究ではビタミンAを摂取させなかったことによりビタミンAが不足したことによる胃潰瘍が発生したという報告があります。

つまり、ビタミンAが不足してしまうことは胃の機能に障害を与える可能性があるということになるわけです。バランスの良い食事というのは、健康を維持するだけではなく胃の粘膜を正常に保つという働きもあるのです。

ビタミンC・E

ビタミンCやEも胃潰瘍の予防に役立つ栄養素として注目されています。ただ、ビタミンCやEそのものが胃潰瘍の予防につながるのではなく、ビタミンCやEを摂取することでストレスに強くなるため、ストレスによる胃の痛み、さらに症状が重たくなることを予防してくれるのです。

ただ、ビタミンCは特に産生で刺激が強い栄養素でもあるので、胃が弱い方、胃潰瘍の心配があるという方はビタミンCを摂取する際は胃の中に食べ物があるときに摂取するのが好ましいといえます。

キウイ、イチゴ、レモン、アセロラなどに多く含まれていています。ビタミンEは胃の粘膜を保護してくれる役割を担っているので、積極的に摂取していきたい栄養素の一つとなっています。

葉酸

水溶性ビタミンの一種で、葉酸が不足することでまず最初に現れる症状が粘膜系とされています。口内炎も粘膜の機能が低下していることから起こりますが、口内炎ができたということは粘膜系すべての機能が低下しているともいえるのです。

頻繁に口内炎が起こる方は葉酸が不足している可能性も否定できず、葉酸が不足している状態が続くと胃の粘膜に潰瘍ができる胃潰瘍が起こりやすくなると考えられます。

口内炎であれば自覚できますが、胃の粘膜などにトラブルが起こっても気づいた時には症状がひどくなっていたというケースも少なくありません。葉酸は緑黄色野菜、果物などに多く含まれていることで知られています。

大麦若葉が含まれた青汁がおすすめ!

大麦若葉というのは、麦の穂が出る前の若葉。若葉のままでは繊維質が多すぎて栄養成分を吸収しにくいため、大麦若葉を生食で戴くということはほとんどありません。

大麦若葉には抗酸化物質が多く含まれているため抗がん作用が期待されています。活性酸素を除去し動脈硬化を予防してくれるからです。

もちろん抗がん作用のほかにも、大麦若葉を摂取することによりストレスによる胃潰瘍、十二支潰瘍に効果があることがわかっています。なぜなら、腫れや痛みなどの炎症を抑制してくれる効果があるからです。

また、大麦若葉は葉緑素で合成されています。先述したように葉緑素も胃潰瘍に効果があることから、生食には向かない大麦若葉も青汁という形で摂取することで効率よく摂ることができるようになるのです。

胃を保護してくれる役割を担っている葉緑素、ビタミンAやC、Eといった成分も大麦若葉には含まれているので、胃潰瘍ができているという方はもちろんですが、胃が弱いという方、胃が痛むことが比較的多いという方にもお勧めです。

もちろん緑黄色野菜や果物から摂取することも必要です。普段の食事に青汁をプラスしてしっかりと栄養を補給していきましょう。

大麦若葉は苦くて飲みづらいから苦手じゃ…

果物から摂取する必要があるみたいだから果物と一緒に飲みましょう。

胃潰瘍の予防と胃を守るには青汁がおすすめ

青汁は美容と健康にいいということは知られていますが、胃潰瘍にも効果があることを知っている方は少ないのではないでしょうか。

青汁に含まれているポリフェノールの一種フィトケミカル、クロロフィル、ビタミン類などは胃の粘膜を保護したり機能を正常に保ってくれる役割があります。

青汁というのは、主に緑黄色野菜を主原料としています。緑黄色野菜には上記の成分をはじめ、葉酸も豊富に含まれています。

葉酸というと妊婦さんが摂取するべき栄養素というイメージが強い傾向にありますが、口や胃の粘膜が再生する力を促してくれる働きを担っているため、妊婦さんに限らず葉酸を摂取していくことは胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防や抑制に役立ちます。

まとめ

青汁が健康に良いということは知っていても、胃潰瘍を予防したり胃の機能を正常かつ維持してくれるということを知っている方は少ないのではないでしょうか。

胃の調子があまりよくないような時というのは、食べ物もあまり食べられないことが多いのですが、青汁なら飲むだけなので食べ物を食べるよりは胃に負担がかかりません。植物そのものを粉末状にしてあるので、栄養素もそのまま。

胃が弱い方、胃潰瘍になりやすいという方は、ストレスなどの多い生活はさらに胃潰瘍を引き起こしてしまう可能性を高くしますので、自分なりのストレス発散方法を見つけストレスを溜めないようにするということも大切です。

生活習慣を見直す、加えて食生活を見直すことで胃の働きも活発になったり正常になってきます。プラス青汁を取り入れることで不足しがちな栄養素、胃の粘膜や機能を高めてくれる栄養素を効率よく摂ることができるのでおススメです。

また、青汁と一口にいっても青汁に使われている主原料は異なります。ただ、どの青汁も栄養価の高い緑色が特徴の明日葉やケール、大麦若葉などを使っているため、どの青汁でも胃への効果は期待できます。上手に生活の中に取り入れ、健康な毎日が送れるように工夫してみてはいかがでしょうか。

  • 胃潰瘍の原因で最も多いのはストレスではなく、ピロリ菌
  • 胃潰瘍の症状は人それぞれで気づいたら胃潰瘍だった場合もありえる
  • 胃の機能を守るためには粘膜を出すことが大切
  • 胃潰瘍の予防に期待できるのは大麦若葉を使った青汁