「喘息(ぜんそく)」と聞くと子供に多く発症する病気というイメージがあると思います。しかし、実は喘息は大人も発症する可能性があるのです。

そんな大人も発症する可能性のある喘息の予防に青汁が期待できるというのは知っていましたか。そこで今回は大人にも発症しうる喘息の原因や、予防のために必要なもの、どうして青汁が期待できるのかなど解説していきます。

喘息とは

喘息と聞くと「小児喘息」という病気がある通り子供がかかる疾患と思われがちですが、実際には大人になってから発症する急性の気管支喘息も珍しくありません。

ところが大人になって急に喘息を発症しても咳や痰が続くだけのタイプの場合には特にそれと気づかず、ただの風邪だろうと勘違いして風邪薬でしのごうとしてこじらせてしまうケースもあります。

しかし、実際には喘息は命のかかわるほどの激しい発作を起こすこともあるため放置するのは危険です。

ヒトの気道器官は、「気道上皮」という皮膜1枚を挟んで「気道粘膜」と呼ばれる粘膜がぐるりと気道(空気の通り道)を囲んでいます。

喘息持ちの人は、症状が出ない時でも気道粘膜が常に炎症を起こしている状態で、炎症により気道上皮が剥がれ落ちていますし、粘膜も浮腫んで気道がせまくなっています。

そこにホコリなどの刺激が加わると炎症や上皮膜の剥がれにより過敏になった気管支は、咳や痰によってそれらの刺激物質を体外へ排出しようとします。

また気道支壁も厚くなり気道が狭まって呼吸がしにくくなるため、息を吸うたびにゼーゼー、ヒューヒューという喘息特有の音が出るのです。

大人も喘息になるかもしれないんだ!

風邪と間違えやすいとは、発見するのがなかなか大変だな。

大人と子供の喘息に違いはある?

子供の喘息、つまり小児喘息は全体の8~14%、一方大人になってから発症する喘息は全体の9~10%。両者とも直接の原因は慢性的な気管支の炎症でこれに違いはありませんが、発作を起こす条件には違いがあります。(参照:日本呼吸器学会「気管支ぜんそく」)

というのも小児喘息は特定のアレルギー物質に反応して発作を起こすことが多いため「アトピー型」に分類されるのですが、大人の喘息の場合、アレルギー物質以外の要因、例えばインフルエンザなどのウィルス感染、ストレス、アスピリンなどの鎮痛剤の服用などが発作を引き起こす要因となり、アレルギー物質を特定することができないため「非アトピー型」と分類されます。

また小児喘息の場合アレルゲンに反応して起こる為発作の回数は多いもののその症状はそれほど重篤なものとはなりませんが、大人の喘息の場合は加齢による気道や心肺機能の低下もあって重篤化し、最悪死に至るケースさえあります。

子供の場合成長するにつれて心肺機能が高まり自然と症状が落ち着いたり完治したりすることも多いのですが、大人になってから発症した場合には完治が難しいという点も大きな違いとなります。

  • 小児喘息は全体の8~14%
  • 大人になってから発症する喘息は全体の9~10%
  • 小児喘息は特定のアレルギー物質に反応して発作を起こすことが多いため「アトピー型」に分類される
  • 大人の喘息はウイルスやストレスなどのアレルギー物質以外が要因になり、特定することができないため「非アトピー型」と分類される
  • 小児喘息とは違って大人の喘息は最悪死に至る可能性がある
  • 大人になって喘息が発症すると完治が難しい

喘息の原因

小児喘息の殆どは「アトピー型」あるいは「アレルギー型」と呼ばれる、特定の物質に対するアレルギー反応によって引き起こされる喘息です。

常に炎症を起こしている気管支にアレルゲンとなる物質が入り込むと、免疫機能が過敏に反応しIgE抗体が作られます。

このIgE抗体はアトピー性皮膚炎などの原因にもなる抗体でヒスタミンを放出し、そのヒスタミンが気道を収縮させるのです。このアレルゲンとなる物質として代表的なのは、ダニやハウスダスト、カビ、花粉、ペットの毛やフケなどです。

一方大人に多い「非アレルギー型」の喘息は、その名の通り上記のようなアレルゲンとなる物質以外のものが原因で引き起こされる喘息です。

中でも多いのはストレスで、呼吸器官も自律神経によってコントロールされているため、ストレスによって自律神経のバランスが崩れることで元々炎症によって弱っている気管支に影響が及ぶと考えられています。

その他の要因としては、タバコの煙や風邪・インフルエンザなどの感染症、排気ガス、天気や気温・気圧の変化なども挙げられます。これらによって喘息の発作が起きますが、アトピー型とは異なりIgE抗体は検出されません。

また別の原因としては、激しい運動などで十分に空気を取り込めないことから起こる「運動誘発性喘息」もあります。ただこの場合は発作が起きたときに30分ほどしばらく安静にしていれば、再び気道が確保できるようになり十分空気を取り込むことができるようになりますから、症状も治まってきます。

また「アスピリン喘息」と呼ばれる、アスピリンと同じ作用のある鎮痛剤が原因となる喘息もあります。風邪薬や痛み止め、湿布などの解熱鎮痛剤に代表される非ステロイド性消炎鎮痛剤がそれで、この薬によって喘息が引き起こされることがあるのです。

小児喘息としては非常に稀ですが、大人の喘息の約1割がこのアスピリン喘息と言われています。

喘息の症状

そもそも「喘息」という漢字は「喘ぐ(あえぐ)」「息」という2つの文字から成っている通り、「喘ぐような呼吸」を意味しており、呼吸の際に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と苦しそうな音を出すのが代表的な症状です。

これは気管が狭くなり空気が通りにくくなるために起こるもので、「喘鳴(ぜんめい)」とも呼ばれます。この呼吸困難は、最初喉が詰まるような感じや胸が締め付けられるような感覚から始まり、喘鳴と共にさらに呼吸が苦しくなり座らなければ呼吸ができないほどになります。

空咳が出て更に呼吸が苦しくなり、粘り気のある吐き出しにくい痰がでることもあります。症状がひどくなり重症になると呼吸困難がひどく、血液中の酸素が不足して意識を失い、チアノーゼ(指先や唇が冷たく紫色になる)症状まで引き起こす危険性があります。

ところが喘息の症状は個人差があり、人によっては症状が咳だけ(咳喘息)、あるいは胸の痛みや喉の違和感だけということもあるため、単なる風邪だと勘違いして放置してしまうことも少なくありません。

しかし喘息を放置していると気道の炎症が悪化し、発作の頻度が増えたり症状が重くなったりしますから、できるだけ早く検査してもらうことが必要です。

風邪の場合は症状が慢性的に見られるのに対し、喘息の発作は夜から早朝にかけて起こりやすいため、これで喘息かどうかを判断できるかもしれません。

また気温差の激しい季節の変わり目や、天気が良くない時、走った後などの運動後、またタバコの煙など刺激となるものに触れたときに症状が出る場合も、喘息が疑えます。そのような場合にはかかりつけの病院あるいは呼吸器科、アレルギー科を受診してください。

また大人とは違い子供の場合は喘息の症状が出ていてもそれを訴えることができず、機嫌が悪くなったりしゃべらなくなったり食事を摂ろうとしなかったりするだけのこともあります。

痰が絡んだ咳をしていないか、呼吸の回数が増えていないかなどしっかり様子を見て、喘息の可能性が疑えるのであれば病院へ連れて行きましょう。

呼吸ができなくなるなんて怖いね。

そうだな。特に呼吸困難になるかもしれないなんて怖いな。

(参照:京都府医師会「気管支喘息」)

喘息に効く食べ物はある?

喘息は食物アレルギーで起こることもありますし、喘息を引き起こす誘因となる食品もあるため、食事には注意が必要です。

しかし一方で喘息に効く食品もあるため、栄養バランスを考えながらそれらの食品を積極的に取り入れていきましょう。

喘息に良い食べ物

喘息の食事療法の基本は栄養バランスをとることで体を丈夫にし免疫力を高めることですが、加えて気管支の炎症を抑える食品や気道を広げる食品を摂ることで喘息を予防・改善することができます。

炎症を抑える作用がある代表的な食品は大根とレンコンです。大根は咳や痰に良いとされていますし、特にレンコンは抗炎症作用の他にアレルギー症状を引き起こすIgE抗体を抑制する作用もあります。

そのため大根とレンコンのおろし汁を混ぜ合わせた大根レンコン汁は特に喘息に効くとされています。気管支を広げる作用があるのは、クレソンやコーヒーです。

クレソンは気管支の筋肉を柔らかくして気道を広げる作用を持つ栄養素が含まれていますし、コーヒーに含まれるカフェインもかつて薬がなかった時代には気管支を広げる作用のある食べ物としてコーヒーが飲まれていたほどです。

ただし気管支拡張薬であるテオフィリン製剤を服用している人は、カフェインの摂取で中毒症状が起こる場合があるので注意しましょう。

また咳止め作用のある黒豆や銀杏、過剰な免疫反応を抑える作用のあるシソなども喘息に良い食べ物です。

喘息に悪い食べ物

まず喘息が食物アレルギーによるものである場合には、当然ながらそのアレルゲンとなる食品を避けなければなりません。

アレルゲンとして多い食品には、卵や牛乳、小麦、甲殻類、そば、魚などが挙げられますが、加えて食物アレルギー性の喘息患者はグレープフルーツやキウイ、メロンなどのある種のフルーツがそのアレルゲンとなっていることも少なくありません。

あるいは食材ではなく食品に含まれる着色料などの添加物に反応していることもあるため、記載されている原材料をよく確認しましょう。

また食材それ自体はアレルゲンではなくても、気管支を刺激して収縮させたりアレルギー原因物質を増やしたりする「アレルギー誘発性食品」にも注意が必要です。

例えば山芋や里芋、タケノコ、ほうれん草などの灰汁の強い野菜にはアセルチルコリンという気管支を収縮させる成分がありますし、カレー粉や胡椒、唐辛子などの香辛料、また炭酸飲料やアイスクリームなどの冷たい食べ物、あるいは逆に熱い麺類なども気管支を刺激することがあります。

更に肉類などの動物性たんぱく質は食べ過ぎると栄養の吸収が妨げられ免疫力が低下してしまいます。これらの食品は適量であれば問題ないですが、摂り過ぎにはくれぐれも注意してください。

喘息におすすめの青汁とは?

美容と健康に良いとされる青汁は、喘息の予防改善にも効果を発揮します。

青汁の原材料となる野菜類にはビタミンCが豊富に含まれていますが、このビタミンCが持つ強力な抗酸化作用が体の酸化を防いで免疫力を高めてくれますし、ビタミンAと共に粘膜を丈夫にして気管支の炎症を予防・改善してくれます。

また青汁は食物繊維も豊富で、ご存知の通り食物繊維は腸内で善玉菌のエサとなって腸内環境を整えてくれます。

実は人の免疫機能の殆どは腸内に存在するため、腸内環境が整えられれば自然と免疫力も高まります。加えて青汁に含まれるカルシウムが免疫細胞の情報伝達を正常化させ、これも免疫力を活性化してくれます。

これらの栄養素はどの青汁にも沢山含まれていますが、特に喘息予防や改善を目的に飲むなら、桑の葉やクマザサが使用されている青汁を選ぶと良いでしょう。

桑の葉に含まれる「桑白皮」は咳や喘息の治療薬として漢方にも使用されているほどですし、クマザサに含まれるササ多糖類にはアレルギーを抑制する作用があることが認められています。

普段の食事で桑の葉やクマザサを食べる機会はまずないので、そういう意味でも青汁は喘息予防や改善にお勧めですね。

確かに桑の葉やクマザサなんて青汁以外で食べる機会なんかないね。

青汁ならどっちもまとめて飲むことができるから便利だな。

まとめ

気管支が炎症を起こし、そこに刺激が加わった時に気管支壁が分厚くなり気道が狭まって呼吸がしにくくなる疾患が、喘息です。

「刺激」となるのはダニや埃、ハウスダスト、ある種の食品などのアレルゲン、あるいはタバコの煙やストレス、運動や気温・気圧、アスピリン系の薬など他の要因が関係していることもあります。

特に大人になってから発症する喘息は後者の非アレルギー性であることが多く、小児喘息とは違い完治しにくく発作時の症状も重篤なものになることがあります。

大人の喘息は放置しておくと悪化する危険性があるため、できるだけ早い処置が必要です。食事でもある程度予防や改善が可能で、例えば気道を広げたり炎症を抑えたりする食品や、免疫力を高めたり粘膜を強くしたりする食品を意識して摂ることで改善された例もあります。

具体的にはビタミンAやビタミンC、食物繊維、カルシウム、αリノレン酸などの栄養素が必要で、これらの栄養素がギュッと濃縮された青汁は喘息にも効果的な飲み物と言えます。

特に桑の葉やクマザサなどの効果の高い野菜は普段の食事からは摂取しにくいため、これらが配合された青汁は特にお勧めです。咳や喘息を鎮める作用のある蜂蜜を青汁に混ぜて飲む「青汁療法」を試してみても良いでしょう。