健康に良さそうな青汁を探しているときに、「特定保健用食品の青汁」もしくは「トクホの青汁」というのを見かけたことはありませんか。

「消費者庁許可」などと書かれていて信頼できそうですが、一体普通の青汁と何が違うのでしょうか。今回はそんなトクホの青汁について解説していきます。

トクホとは

「特定保健用食品」略して「トクホ」は、からだの生理学的機能に影響を与える成分を含み、特定の保健作用を得ることを期待して食品を摂取する人に対し、その目的が達成されると期待できる旨を表示した食品のことです。

例えば「この食品には○○が豊富に含まれているためお腹の調子を整えます」と表示することで、「便秘を解消したい」という目的で効果のある食品を探している人が自分にあった食品を選択できるよう情報を提供するわけです。(参照:e-ヘルスネット「特保(特定保健用食品)とは?」)

勿論このためには科学的根拠や安全性について審査を受け、「確かにそのような効果が期待できる」と認めてもらわなければなりません。この審査と認可を行うのは現在食品衛生法や健康増進法などの法律を担う消費者庁です。

トクホは「保健機能食品」に含まれるもので、あくまで食品という位置づけであるため、医薬品・医薬部外品とは異なり、特定の疾患の治療効果を謳ったり、服用方法などを明確に表示したりすることはできません。

しかし一般食品とも異なり、消費者庁により特定の効果を表示することは許されているため、期待できる健康効果の高さから順に並べると、「医薬品(医薬部外品を含む)>保健機能食品(トクホを含む)>一般食品(健康食品も含む)」という位置づけになります。

トクホは一般食品よりも健康効果に期待できるのか。

でも効果は消費者庁に認めてもらったものだけみたいだから気をつけないとね!

栄養機能食品とトクホに違いはある?

トクホは消費者庁管轄の「保健機能食品」に分類される食品ですが、保健機能食品にはトクホの他に、「栄養機能食品」、そして平成27年度からは「機能性表示食品」も含まれるようになりました。

「栄養機能食品」とはビタミンやミネラルといった特定の栄養成分の機能を表示することで、それらの栄養成分を食品から摂取したいと考える消費者が自分に合ったものを選択できるよう情報を表示している食品のことです。

トクホが特定の「保健効果」を表示するのに対し、栄養機能食品は特定の「栄養成分」を表示するという点が異なります。(参照:厚生労働省「保健機能食品制度」)

栄養機能食品として表示するためには、その栄養成分の含有量が消費者庁が定める一日当たりの摂取目安量上下限値範囲内になければなりません。また栄養機能だけでなく注意喚起表示も記載することが求められます。

ただ、この規格基準さえ満たしていれば消費者庁への申請や届け出は不要で、製造メーカーが自己責任の元に「栄養機能食品」と表示することが許されています。消費者庁により審査を受け個別に認められているトクホと大きく異なるのはこの点でしょう。

栄養機能食品は消費者庁に申請しなくてもいいとはの。

トクホとは違って製造メーカーの自己責任なんだね。

トクホの青汁とは?販売されている?

例えばトクホ飲料の中でも人気の高い「ヘルシア緑茶」には高濃度茶カテキンが含まれており、これにより脂肪の代謝を高め体脂肪を減らす効果が期待される旨が謳われています。

このように、トクホとして認めてもらうためには、消費者庁により認められている特定の栄養成分が一定量配合されている必要があるのですが、この条件を満たしトクホと認められた青汁も販売されています。

青汁の場合、トクホの条件となる栄養成分は、「難消化性デキストリン」と「キトサン」の2つで、どちらか1つあるいは両方が配合されていることが求められます。

トクホの青汁の例としては、難消化性デキストリンを配合している「大正製薬のヘルスマネージ大麦若葉青汁」や「DHCのケール青汁+食物繊維」、「アサヒ緑健のりょくこう青汁ファイバーイン」。

キトサンを配合しているのは「大正製薬のヘルスマネージ大麦若葉青汁<キトサン>」や「アートネーチャーのトクホの青汁」、「アサヒ緑健のりょくこう青汁キトサン」、「小林製薬のキトサン明日葉青汁」などがあります。

ちなみに日本で初めて大麦若葉由来の食物繊維により便通改善効果を謳うことが許されトクホの認可を受けた青汁は、「東洋新薬の青汁」だそうです。

普通の青汁との違い

既に考えた通り、トクホの青汁と普通の青汁の大きな違いとは消費者庁により審査を受け「確かに特定の効果が期待できる科学的根拠があり、安全性も確かである」と認められているかいないか、ということです。

また消費者庁にこのように認められるための条件の1つとして、難消化性デキストリンやキトサンといった特定の成分が一定量配合されているかどうかという点も挙げられます。

ところが現在のところ、青汁に関してはトクホ認定を受けた商品はそれほど多くありません。というのも、トクホ申請のためには手続や実験費用がかかり、そのためだけに何千万という費用がかかる場合が殆どだからです。

トクホ製品の約1割は、認定獲得のために1億円もかけているとも言われています。そのうえ審査も厳しいため、それだけの費用をかけて確実に認定を受けられるとも限りません。

従って、トクホの青汁はそれほどの費用と労力をかけ、国(消費者庁)から太鼓判を押された確かな青汁であり、科学的根拠と安全性が確認されている数少ない青汁ということになります。

勿論普通の青汁にも配合成分から得られる健康効果を期待することはできるのですが、信頼性の面ではどうしてもトクホの青汁に劣ってしまうわけです。

確かにトクホの青汁ってあまり見たことがないの。

そうだね。認定してもらうために1億円もかかるなら、少ないよね。その分、信頼性は高いみたいだけど。

トクホの栄養成分

トクホの青汁に配合されている成分には、前述の通り「難消化性デキストリン」や「キトサン」と言った栄養成分が配合されているほか、大麦若葉やケールといった青汁の代表的な食材も多く使用されています。

デキストリンとは

「難消化性デキストリン」の「デキストリン」とはデンプンの1種で、「難消化性」とある通り「消化されにくいデンプン」が難消化性デキストリンです。

具体的にはトウモロコシから取り出したデンプンを加熱によって化学変化させ、アミラーゼと呼ばれる消化酵素により加水分解した、水溶性の食物繊維です。

耐酸性にも優れ酸性の環境下でも壊れませんし、他の食物繊維とは異なりミネラルの吸収を阻害することもありません。非常に優れた加工性と安定性により、青汁以外にもトクホ製品全体の約30%に使用されている成分となっています。

キトサンとは

「キトサン」とはカニやエビなどの甲殻類の殻に存在するキチンを精製し使用しやすくしたもので、食物繊維としては非常に珍しい動物性です。

また食物繊維の中で唯一強力なプラスイオンを荷電しているという特徴もあります。現在キトサンは他の健康食品や一般食品、更には医療や化粧用品、工業製品に至るまで様々な分野で利用されています。

「大麦若葉」とはイネ科の大麦の若い葉の部分で、20〜30cmほど育った時点で収穫したものです。ビタミンやミネラルまた食物繊維も豊富に含んだ万能野菜として青汁の主要成分に使用されています。

「ケール」も同様に栄養価の高い植物で、キャベツの原種に近い野菜です。食べやすく改良したキャベツと違って独特の苦みやニオイがありますが、その分栄養価が失われることなく豊富に含まれています。

どんな効果・働きをする?

トクホの青汁に使われる「難消化性デキストリン」と「キトサン」は色々な効果・働きを持っています。

難消化性デキストリンの効果・働き

トクホの青汁に配合されていることの多い「難消化性デキストリン」は、水溶性食物繊維である為大腸でビフィズス菌などの善玉菌のエサとして利用される他、便に水分を含ませて便通を良くするという作用があります。

腸内環境が良くなれば便秘や下痢が改善されるだけでなく、腸内に多く存在する免疫機能が活性化するため、免疫力の向上も期待できます。

また難消化性デキストリン特有の効果として、粘性が低く腸内の善玉菌のエサに利用されやすいことから、大腸でミネラルの吸収を促進させるという、他の食物繊維にはない特徴を持っています。

例えばある実験によると、難消化性デキストリンを2週間摂取した被験者は、その尿中カルシウム排泄量が上昇しカルシウムの吸収率が高まっていることが明らかになりました。

更には脂肪の多い食事と一緒に摂取すると、その脂肪吸収を遅らせ食後の中性脂肪の上昇が抑制されることも分かっていますし、内臓脂肪や悪玉コレステロール値、食後の血糖値の上昇なども抑制する効果があることが確認されています。

キトサンの効果・働き

もう1つの栄養成分「キトサン」も、食物繊維として腸内環境を整え老廃物を排泄させるデトックスとしての効果や、それに伴う免疫力の向上により病気にかかりにくい体に整えてくれる効果、また美肌効果も期待できます。

加えてキトサンには白血球中のリンパ球の1種であるNK細胞やT細胞を活性化させる効果がある為、体内に発生する悪性細胞を素早く発見し攻撃・死滅させることができます。つまり、がん予防にも効果を発揮するというわけです。

更にキトサンだけが持つ特徴としてプラスイオンを荷電しているということが挙げられますが、これによりダイオキシンや重金属、食品添加物といったマイナスイオンを帯びた有害物質を吸着し体外へ排出する作用もあります。

更には、コレステロールの吸収抑制、血圧上昇抑制と降圧、その他様々な生活習慣病や不定愁訴に対する抑制効果があることも認められています。

普通の青汁とトクホの青汁、どちらのほうがおすすめ?

トクホの青汁は国から太鼓判を押された青汁ということですから、そうでない青汁と比べて効果が高いように感じられるかもしれませんが、実際には必ずしもそうとは言い切れません。

確かにトクホの青汁はその商品を使用したヒト実験が行われ有効性と安全性が認められているわけですが、ではそうではない普通の青汁の効果や安全性は信頼できないのかというと、単に消費者庁の審査を受けていないというだけであって、各メーカーが独自に有効性や安全性を確認しているわけですから、これを疑う理由はありません。

ただ、両者を比べてあえて優劣をつけるとすれば、トクホの青汁の方が信頼性がより高い、ということになるでしょう。

従って有効性や安全性という観点から言ってより確実さを求めるならトクホということになりますが、特にこだわりがなく一般的に言われている青汁の効果を得たいというだけなら普通の青汁でも構いません。

青汁選びでもっと大切なのは、自分が特に期待している効果を持つ栄養成分が配合されているか、またどれだけ配合されているか、ということでしょう。

こんな人にトクホの青汁がおすすめ!

従って、青汁を選ぶ際にトクホであるかどうかを決め手にする必要はありません。

特定の美容や健康効果を期待しているのではなく一般的に言われている青汁の効果を期待して、とりあえず試してみたいという人なら普通の青汁で十分ですし、青汁に配合されている栄養成分に詳しく、自分で調べて選び抜く自信がある人もトクホに頼る必要はないでしょう。

ではトクホの青汁がお勧めな人とはどんな人なのかというと、まず効果や安全性がしっかり保証されているものでないと心配で飲めないという人。

トクホ商品はそのための費用もかかっているため全体的に価格も高めに設定されていますから、高くても良いから品質保証されたものが良いという人にお勧めです。

あるいはトクホの青汁だけに配合されている成分を摂取したい人。具体的には「難消化性デキストリンで脂肪の吸収を抑えたい!内臓脂肪を減らしたい!」という人、「キトサンでコレステロール値を下げたい!デトックスしたい!」という人は、トクホの青汁から選ぶ必要があるでしょう。

勿論トクホとは言え食品ですから飲んですぐ効果を実感できるわけではありませんが、普通の青汁ではこれらの効果をあまり得られなかったという人は、トクホの青汁に変えてみると良いかもしれません。

内臓脂肪を減らしたいなどは考えておらんからワシは普通の青汁でいいかの。

私もそうだね。友達にトクホのことを教えてあげようと。

まとめ

消費者庁が行う審査により科学的根拠と実験から有効性と安全性が認められ、「特定保健用食品」として販売することが許された健康食品が、「トクホ」。

青汁にもトクホをして認められた商品が幾つかあり、青汁の場合「難消化性デキストリン」や「キトサン」といった栄養素を配合していることが特徴です。

「難消化性デキストリン」は水溶性食物繊維で、ミネラルの吸収を促進させたり脂肪の吸収・蓄積を抑制させたりする効果があります。

また動物性食物繊維である「キトサン」には、体内の毒素や老廃物を体外へ排出させるデトックスや血中のコレステロール値、血圧の上昇などを抑制する働きがあります。また両者とも食物繊維ですから腸内環境を整え免疫力をアップさせたり肌の調子を整えたりする効果もあります。

従って、脂肪吸収を抑制したい、コレステロール値を下げたいなど特定の効果を期待して飲むならトクホの青汁がお勧め。また有効性や安全性に関して確かな保証が欲しい人もトクホの青汁を利用すると良いでしょう。

一方で、特にこれと言った具体的な効果を期待しているわけではなく漠然と美容と健康のために青汁を試してみたいと考えている人、毎日飲むので高価なものは困るという人、効果や安全性に関してはそのメーカーを信頼しているので国からの保証までは必要ないという人などは、トクホにこだわる必要はないかもしれません。

  • トクホとはその目的が達成されると期待できる旨を表示した食品のこと
  • 一般食品よりも健康効果に期待できる
  • トクホは特定の「保健効果」の表示。栄養機能食品は「栄養成分」の表示
  • 青汁のトクホの条件は「難消化性デキストリン」と「キトサン」
  • トクホの青汁のほうが信頼性は高い
  • トクホの青汁は、効果や安全性がしっかり保証されているものでないと心配で飲めないという人におすすめ