近年、日本は食生活が欧米化し、肉を中心に食べるという人が増えてきました。美味しいものが増えることは良いことですが、その一方で野菜不足になっている人も増えてきています。

野菜不足を解消するためにも青汁がおすすめされることがありますが、本当に青汁で不足分を補えるのでしょうか。

そこで今回は野菜不足の現状の説明と、青汁だけで野菜不足を解消できるのか解説していきます。

現代の人の野菜不足は深刻化してきている?野菜の摂取量はどれぐらい?

食生活の欧米化により、肉を好んで食べる傾向の現代人は、食事から摂取する栄養が偏ってしまいがちで、野菜不足に陥る人も増えています。

野菜の匂いや食感、見た目などに抵抗があって、食べられる野菜の種類が少なく、野菜嫌いだという人もいます。実際に現代人はどの位の量の野菜を1日で摂取しているのか?は気になりますよね。

1日3食の食事において、全く野菜を口にしないという人も実際にいます。つまり野菜の摂取量はゼロということです。

ゼロというのは極端な例ですが、厚生労働省が行う「国民健康・栄養調査」の中の野菜平均摂取量を見ると、成人男性だと1日約290g成人女性では1日約270gという結果が出ています。また、世代別でみると20〜30歳までは約240gと更に少ないことが分かります。

これは若い世代において特に野菜離れが深刻化してきていることを示しています。

また、野菜には色の濃い緑黄色野菜と色の薄い淡色野菜がありますが、バランスよく摂取することが推奨されていますが、好き嫌いの問題などもあるのでなかなか思うように摂取できていないのが現実です。

そういえばうちの子も野菜を食べるのあまり好きじゃないわね…

たしかにそうだな。こうして数字で見ると深刻だな。

野菜不足の人はどれぐらいいる?

現代人の野菜不足は深刻になっているとよく言われていますが、実際に野菜不足に陥っている人は、どの位いるのでしょうか?

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」の結果によると、平成17年から平成27年までの10年間における、20歳以上の1日における野菜の平均摂取量は約293gとなっています。男女別で比較すると、男性は約299g女性は約288gとなっています。

10年間の推移を見てみると、最も野菜の摂取量が多かったのが男性では平成18年の約312g、女性でも同じく平成18年の約295g、全体では約303gとなっており、ここ10年間では全体において300gを超えたのは平成18年のみという結果が出ています。

一方で最も少なかったのが、男性では平成23年の約285g、女性では平成25年の約271g、全体では平成23年の約277gとなっています。

次に年齢階級別で1日の野菜摂取量をみてみると、20代で男性は約257g、女性は約226g、30代は男性が約266g、女性は約246gです。

更に、40代は男性が約281g、女性は約252g、50代では男女ともに約286g、60代では男性は約327g、女性は約334g、70歳以上では男性は約322g、女性は約309gという結果になっています。

年齢別で比較すると、やはり20代は男女とも最も1日の野菜摂取量が少ないことが分かり、60代が逆に最も多いことが判明しました。

そして男女ともに、1日の野菜摂取量の平均を超えているのは60歳以上のみだということもわかり、若い世代の野菜離れが加速していると言えます。

言われてみればおじいちゃんとおばあちゃんもよく野菜を食べているわ!

俺らの年代あたりから野菜不足の人は多いのかもしれないな。

毎日どれくらいの野菜を食べるべきか?

現代人の野菜不足を解消するためには、一体どの位の量の野菜を毎日摂取すればよいのかも知っておく必要があります。

厚生労働省が推奨している大人の1日における野菜の摂取量は約350gです。

しかし、350gと言われても、具体的にはどの位の量なのか?イメージしづらい人もいるでしょう。レタスやキュウリなどの生野菜でイメージすると、大体両手に軽く山盛り1杯にした位の量だと言われています。

もう少し分かりやすく示すと小皿1皿の野菜をメインにした、もしくは野菜のみで作った料理を70gと考えます。すると、350gを1日で摂取するには野菜料理の小皿を5皿は毎日食べなければならないことになります。

野菜料理というのは、例えばポテトサラダやきんぴらごぼう、ほうれん草のおひたし、切り干し大根やカボチャの煮物、野菜カレーやシチューなどがあります。

カレーのように大皿の料理は2皿分として考えると、1日では例えばポテトサラダやホウレンソウのお浸し、かぼちゃの煮物は1皿ずつで3皿、野菜カレーは2皿というメニューを食事に加える必要があります。

しかし、野菜といっても同じ種類の野菜のみを大量に食べるというのも、栄養バランスが悪い上に厚生労働省によると1日350gの野菜は、細かく分けると緑黄色野菜120g淡色野菜230gを摂取するのが望ましいとされています。

緑黄色野菜というのは、トマトや人参、かぼちゃやホウレンソウ、ピーマンなどで、淡色野菜はキャベツやレタス、きゅうりなど色の薄い野菜のことです。これらの野菜をバランスよく料理のメニューに加えて、かつ量も350g以上を満たさなければなりません。

具体的には緑黄色野菜のミニトマトは3個、にんじんは3分の1本、ピーマン1個、サラダ菜は3枚、淡色野菜ならキャベツ6分の1個、レタス大3枚、キュウリ3分の1本という量です。

これだけバランスよく、必要な量を食事に取り入れるのは結構難しく、しかも毎日のことになると野菜を敬遠している人にとっては大変なことだと言えるでしょう。

野菜といっても何でも良いわけではないのか!

野菜のバランスを考えるなんてなかなか難しいわね。

青汁で野菜不足は解消できる?

青汁はケールや大麦若葉、明日葉などの栄養価が高い野菜を主原料としています。そして、様々な栄養素を豊富に含んでいるので、青汁を飲めば野菜を食べなくていいのでは?と思う方もいるでしょう。

実際には、パッケージにも青汁1杯には、野菜350g分の栄養素が含まれていると謳っている製品もあるとされています。そうなると、青汁さえ飲んでおけば、野菜を食べなくても良い?と思い込む方が増えても不思議ではありません。

しかし、青汁のみでは実際には野菜不足を解消するのは難しいと言われています。

その理由としては、確かに青汁は栄養価に優れた野菜を原料としていますが、主に緑黄色野菜を使っているため、きゅうりや大根などの淡色野菜は不足してしまうのです。

厚生労働省によると1日に必要な野菜の摂取量は約350gで、そのうち緑黄色野菜は約120g、淡色野菜は約230gが望ましいとされているからです。

また、青汁のみで野菜を補おうとすると栄養が偏ってしまう可能性があります。確かに野菜にも、青汁にもビタミンやミネラル、食物繊維などがたくさん含まれています。

しかし、ビタミンKなどのように青汁だけで1日に必要な分をクリアできる栄養素もあれば、食物繊維や鉄分、ビタミンEやCのようにそれだけでは不足する栄養素も実はあるのです。

青汁は確かに栄養価は高いですが、原料が葉物野菜がメインなので他の野菜の栄養素を摂取するには、青汁だけでは不十分であると言わざるを得ません。

更に、青汁を製造する過程において大量の葉物野菜を使っていても全ての栄養素を絞りだせない場合もあるとされています。

例えばミキサーでジュースを作ったり、野菜を調理するのと似ていて、廃棄する搾りかすなどに栄養素が含まれているため、葉物野菜を丸ごと使ってもそのまま全ての栄養素を摂取することができない場合もあるのです。

青汁は野菜不足を補う意味では十分な役割を果たしてくれますが、青汁で野菜不足を解消するのは難しいと言わざるを得ないでしょう。

青汁で野菜不足は解消できないのか、少し残念だな。

そうね。でも補うという意味では十分な役割を果たしてくれるみたいだし安心かな。

新鮮で美味しい野菜の見分け方

野菜を美味しく食べるには、新鮮な野菜を見分ける目が大事だと言えます。同じ野菜であっても、収穫から日数が経過してしなびていたり、本来の甘みや旨みに欠けるものもあるので選ぶ目を養う必要があります。

まず、季節によって旬の野菜だとお店にも出回りやすく、価格も安くなるのでおすすめです。

春はアクや苦みがある野菜が旬で、胃腸の働きを活発にさせてくれます。

例えばフキは変色や傷がなく、茎が均一で太すぎないもの、タケノコは皮にツヤや湿り気があって、切り口に赤い斑点がない、アスパラガスは色が黄緑で太いものが新鮮だと言えます。

夏は水分やカリウムの含有量が多い野菜が旬となります。

ヘタや実の色は濃くてピンとしており、肉厚なピーマンや、イボイボがとがっていてハリがあるキュウリ、丸くて固くヘタが青いトマトなどがあります。

秋は、食物繊維やビタミンが多く体に優しい野菜が旬となります。

丸みがあって紅の色が鮮やか、黒い斑点や凸凹がないサツマイモやオレンジ色が濃くて首の部分が黒くない人参などです。

冬はビタミンCが多く体を温める野菜が旬となります。

白くて実が丸く、硬いかぶや外葉が大きく、巻きがしっかりしていて瑞々しい白菜、表面にツヤがありふっくらとしているレンコンなどです。

また、玉ねぎは春と秋、キャベツは春と冬、ジャガイモは春と秋など1年に2回旬の野菜もあります。

夏は夏野菜で体を冷やそう!冬は温野菜で温めよう!

野菜には体を冷やす作用のあるものと、体を温める作用のあるものに分けられます。基本的には暑い夏が旬の夏野菜は体を冷やして体温を下げ、寒い冬が旬の冬野菜は体を温め体温を上げると言われています。

他にも、土の中で育ち黒、赤色、オレンジ色などの野菜は体を温め、土の上にできて白や青、緑の色の野菜は体を冷やすとされています。

ただ例外もあって、トマトは赤色だから色だけを見ると体を温める野菜に当てはまりそうですが、南米の暑い地域が原産であり夏が旬の野菜なので、実際の所体を冷やす野菜なのです。

こうした条件を当てはめてみると、体を冷やす野菜はレタスやキャベツ、ほうれん草や小松菜や白菜などの葉物野菜を始め、トマトやキュウリ、なすやもやし、オクラ、セロリや大根などが挙げられます。

一方で体を温める野菜は、にんじんやネギ、玉ねぎやごぼう、かぼちゃやレンコン、山芋などが当てはまります。こうしてみると、例えば白菜は冬が旬で体が温まる鍋などには欠かせない野菜なのに、体を冷やすのは意外な感じがするかもしれません。

また、調理法によっても体を冷やす食べ物が温める食べ物へと変化します。例えば体を冷やすとされる大根は、大根おろしやサラダなど生で食べると水気が多く、体が冷えます。

しかし、煮物やみそ汁など加熱することで血流を促して体を温める成分が増えると言われています。

基本的にサラダなどの生のままで食べられる野菜は体を冷やすものが多く、加熱したり漬物のように発酵させるなどして加工できる根菜類などの野菜は調理法一つで体を温めることも可能だとされています。

暑い夏は体温が上昇しやすく、また汗をかくので水分不足に陥って、熱中症の発症リスクも高まります。そのため、夏は水分がたっぷりの野菜で水分補給を行い、体の熱を外に逃がし冷やしてくれる野菜が適しています。

一方冬は、冷え性などで血の巡りも悪くなるので、体を温めて血流を促し、臓器や器官の機能を向上させるような温野菜の摂取が必要となります。健康な体を維持するには、季節ごとの体の変化に対応できる野菜を摂取するように心がけましょう。

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まとめ

厚生労働省から推奨されている1日に摂取すべき野菜の量は、ここ数年においてはクリアされていないことから、現代人は深刻な野菜不足に陥っていることがよくわかります。

特に20代の若い世代は野菜離れが進んでいます。健康維持のためにも、1日約350gの野菜を食べるべきであり、その中でも緑黄色野菜、淡色野菜をバランスよく摂るのが望ましいと言われています。

そのためには、食事の献立などを工夫して様々な種類の野菜をバランスよく取り入れることが大事です。

しかし、時間がなかったり、好き嫌いが多い方などは食事だけで野菜不足を解消するのは難しく、そんな時は栄養価の高い葉物野菜を原料とした、青汁を取り入れるのがよいでしょう。

ただ、青汁だけでは十分だとは言えないので食事で野菜をとりつつ、青汁で補うといった飲み方が好ましいと言えます。また、野菜には季節によって最も美味しい時期、旬が決まっています。

季節ごとにその時の旬の野菜を、できるだけ新鮮な状態で食べるために美味しい野菜の見分け方もしっかり覚えておきましょう。

更に、夏の暑い時期は体を冷やす野菜を、冬は体を温める野菜を選んで食べることも健康維持のためには欠かせないと言えます。

  • 野菜不足の人が増えてきている
  • 特に20代の人に不足している人が多い
  • 厚生労働省が推奨している野菜の摂取量は約350g
  • 青汁のみで「野菜不足」を解消するというのは難しい
  • 「野菜不足を補う」という意味では青汁は十分に役立つ